Injection Molding with Biodegradable Plastic生分解性プラスチックによる射出成形
生分解性プラスチック製品の開発相談受付中
生分解性プラスチックとは
生分解性プラスチックは微生物や生物由来の酵素の働きで、水と二酸化炭素に分解され、数週間から数ヶ月という短期間で自然に返るプラスチックです。一般的なプラスチックは紫外線や摩耗などで形は崩れますが分子構造は安定なまま微粒子となって何十年~何百年といった長期にわたり自然環境に残ってしまいますが、生分解性プラスチックではそのようなことはありません。自然環境に優しい性質から今注目を集めています。
生分解性プラスチックが注目される背景
2018年6月、カナダで行われたG7首脳会議でカナダと欧州勢が「海洋プラスチック憲章」を採択しました。プラスチック消費削減の数値目標などが盛り込まれましたが日本は米国とともに署名を見送り環境保護団体から非難を浴びました。
しかし、日本でも、企業レベルではSDGs(持続可能な開発目標)に沿った事業目標が各所で話題に上がる機会も増えてきました。先の海洋プラスチック憲章に関連したSDGsには「目標14:海の豊かさを守ろう」があります。その内容は「 海洋はまた、人間が作り出す二酸化炭素の約30%を吸収し、産業革命以来、海洋酸性化は26%進んでいます。陸上からの排出が主原因である海洋汚染は危険な水準に達し、海洋1平方キロメートル当たり平均で1万3000個のプラスチックごみが見つかっています。」となっています。
プラスチックは自然界に排出されると紫外線や摩耗などで小さく砕かれます、この小さなプラスチック片はマイクロプラスチックと呼ばれ、河川から海へ流れ出て世界中の海洋を漂っています。有害な化学物質を吸着しやすく、それらが、海洋生物に誤飲されるケースが多数報告されており、その結果、食物連鎖に取り込まれ濃縮された有害化学物質が大型動物や人に悪影響を及ぼす可能性も指摘されています。我々は美しい海洋を大切にしたいと考えます
日本の現状は、材料レベルでのプラスチック微粒子やペレットなどについては一部の業界団体で使用自粛や管理の厳格化が始まっているものの、プラスチック製品の廃棄から生まれるマイクロプラスチックについては手付かずです。(2018年7月現在)
既にEUでは使い捨てプラスチック容器などの使用を禁じる方針が発表されており、日本も近いうちに対応を迫られることになりそうです。
そうした中、にわかに注目を集めているのが生分解性プラスチックです。水と二酸化炭素に分解されプラスチックとして自然環境に残らないためマイクロプラスチック問題の回避が期待できます。
当社での代表的な用途、実績
当社での生分解性プラスチック製品の開発は、医療用途向けで、仮に体内に取り込まれても自然に分解し人体に害を与えない、例えば手術用の縫合糸のような素材で製品を成形できないかという要請から始まりました。その代表的なものがポリ乳酸による微細針です。
中空微細針・ランセット針(ポリ乳酸)
薬液を真皮に送り込む中空針や血糖値測定で使われるランセット針など、仮に体内に刺さったまま折れ残ったとしても分解するので安全です。

飼育用バイアル(ポリ乳酸)
実験生物(ショウジョウバエ)の飼育に使われるバイアルを生分解性プラスチックで製造しました。糞や死骸などとともに土に埋めることで自然に返すことができます。感染性廃棄物ではないような、焼却しなくても良いものについては土に返すことでCO2削減に貢献できます。
今後こんなものに使われ始めるかも…
潮干狩りや川辺など水辺で使用される子供用のプラスチック製スコップなどは、砂との摩耗でマイクロプラスチックが発生するという指摘があります。(日刊工業新聞 2018/6/26 「微細プラ粒子湖底にも蓄積 熊本大が調査」)消耗品で摩耗の激しい部位にプラスチックが使われる場合は生分解性プラスチックを使うと自然環境に優しいと考えられます。
山林を歩いていてよく見かけるゴミ。マナーの悪い人がいなくなるに越したことはありませんが、恐らく将来的にも一定の割合でそういった人達は存在するでしょう。そうした人たちが出すゴミも紫外線や風雨で崩壊してマイクロプラスチック源になるでしょう。代表的なものは、ポリ袋、食品や飲料のパッケージですが、プラスチック製の部品を含む日用品や家電製品などが不法投棄されているケースも見られ、これらが生分解性プラスチックであれば山林の環境がもっと改善されると考えられます。
屋外で利用されるプラスチックは紫外線などで崩壊しやすく、焼却ゴミとして捨てられずに朽ちるに任せて放置されるとマイクロプラスチック源になります。洗濯ばさみなどが良い例ですが、力のかかる部分を金属で、衣類に触れる部分を生分解性プラスチックで付け替えできるように作るなど工夫次第でアイディアがいろいろ出てきそうです。また、金属とプラスチックの複合製品は不燃ゴミとして処分されますが、自治体によってはそのまま埋め立てられるところもあるでしょう。これも、マイクロプラスチック源といえそうです。これらは今後製品設計で適所に生分解性プラスチックを使うよう工夫することで乗り越えられる課題かもしれません。
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▶マイクロプラスチックについて
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ポリ乳酸以外の素材一覧
生分解性プラスチックにはポリ乳酸以外に以下の素材が知られています。
射出成形への適合性など開発途上の素材も多く共同開発になりますがチャレンジのご相談にも応じてまいります。
- 微生物系
- 微生物産生ポリエステル
- ポリアミノ酸
- 多糖類
- 天然物系
- セルロース誘導体
- でんぷん
- キチン・キトサン
- 化学合成系
- ポリカプロラクトン
- PBS、PBSA
- ポリグリコール酸(PGA)
- テレフタレート変性系
- ポリエチレンサクシネート(PES)
- ポリビニルアルコール(PVA)
部分生分解性プラスチックに注意
一般のプラスチックと生分解性プラスチックをブレンドした部分生分解性プラスチックは、生分解性プラスチック部分が分解した後、見た目には崩壊し分解されたように見えますが、長期間にわたってプラスチックの微粒子が残留しマイクロプラスチック源になります。これは生分解性プラスチックとは似て非なるもので注意が必要です。
生分解性プラスチックの成形ノウハウをご活用いただけるパートナー企業を募集しております
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